ど素人、黄表紙をよむ

独学で黄表紙を読み、悪戦苦闘の成果をさらす。恥知らずの野暮天ですみません。

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桃太郎発端話説(ももたろうほったんばなし)⑦

07両方

親すずめは、子すずめがハマグリとなったのを見つけだして連れ帰り、
針や按摩でいろいろやったが、あたため灸も届かないので
すずめ医者が指図して 
「とにかく強くあたためるに及ぶものはなし」と 
松かさを集め、焼きハマグリにした。

するとハマグリがチウチウと鳴いたと思うと、ぱっくりと口をあいて、
「蜃気楼の尻小玉」とでも言いそうな気を吹き、
中から舌切りすずめが飛び出ると、
親すずめ、うれし涙のすずめ泣きをするのも道理である。

医者すずめ、いわく
「くすり瞑眩(めんけん)せずんば、その病、癒えずといえり」
  “秦の泰伯 狩に出でて 咸陽に至り
   流火 有り下り 化して 白き雀と為る”
 これも火のせいによって、元のすずめと化す。
 はて、よう似たこの場のありさまじゃなァ」

親雀「ヤレヤレうれしや。貝の柱でひたいでも打ちはせぬか」

仲間のすずめも気の毒に思い、
千垢離(せんごり)をしてすずめの宮に祈ったので、
すずめの千垢離 実のひと声」という言葉は、この時から始まったのだ。

親すずめ「さてさて、大きに苦労したことじゃ。
     もうこれからは、ちっとも桑名の焼きハマグリじゃ」



【注】
尻小玉:人間の尻の近くにあると言われている魂の塊。
     溺死した人は河童にコレを抜かれたのが原因と考えられていた。

瞑眩:東洋医学で、治癒前に一時的な熱・下痢・発疹などが出ること。いわゆる好転反応。

秦の泰伯~:北宋代初期の百科事典である『太平御覧』の、「白雀」の項目に出てくる一説。   

千垢離:川水に浸って身を清め、神仏に願をかけること。

「すずめの千垢離 実のひと声」:「雀の千声 鶴のひと声」という諺にかけた駄洒落。

桑名の焼き蛤:「その手はくわないぞ」という意味の地口だが
       ここでは文字通り、焼き蛤を食えないという意味も掛けている。
       ちなみに桑名市は三重県。伊勢参りの人々が休憩する宿場町があり、
       焼きハマグリが名物だったようだ。
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野暮天のサチ

Author:野暮天のサチ
江戸のおもしろ文学『黄表紙』を読み始めて1年余り。
ど素人の独学なので試行錯誤中ですが、あまりにも面白いので、みんなにも「黄表紙読み」をお勧めしたいと思ってブログをはじめました。

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