ど素人、黄表紙をよむ

独学で黄表紙を読み、悪戦苦闘の成果をさらす。恥知らずの野暮天ですみません。

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人間一生胸算用⑰

人間一生胸算用17右 善たましい

京伝は無次郎の体の中、三百六十の骨を尋ねたところで、
頭のてっぺん、ひよめきの辺りに、
心がまごまごしているのを見つけ、
元の胸のところへ連れ帰ろうとしたところ、 
またここに、先だっての善たましいが現われて言う。

  善たま 「こういう事になるだろうと思ったので、
       京伝を体の中へ入れおいたのだ。
       それ、孟子も“生は善なり”といって、
       天から生まれついた心はみな善き心だ。
       けれども、それぞれの心の緩みから気というものが動き出し、
       目・口・耳・鼻が心の下知を受けず、このように国が乱れる。
       これは、心が緩む故のことなのだ。
       この品を持って、みなみなの心を正しく直しなさい」

善たまはこう言って、あの三つの物を授けなさった。

人間一生胸算用17右 心とミニ京伝

京伝はここで一番、
知ったかぶりにチンプンカンを言いたい事は山ほどあるが、
放っておこうと思って、かいつまんで言った。

  京伝 「ハイハイ、かしこまりのトロロ汁さ」

人間一生胸算用17左

さて 京伝は心を堂々と元の胸のところへ立ち返らせると、
心はあの授かった三色の中を開き、
清心の医書を耳に読んできかせ、
次に地獄の絵図を目にみせ、
また、太神宮の清く潔き洗い米を口にのませ、
さらに神器五条の縄をもって足手をしばった。

すると、気も自ずから本性に返り、
みなみな始めのごとく心を尊み、
心もまたおのれを慎み、みなみなもよく心の下知を守れば、
無二郎の体の戦は、たちまち収まった。

  心「これみんな、言いてえ洒落もあろうが、もう言わず、しやんなよ。
    版元が来て、だいぶ書き入れが多くて読みにくかろうと言ったぜ」



ひよめき:頭頂部の近くにある頭蓋骨の継ぎ目。
       黄泉の国への入り口という意味もある。

三色:単に「三種類のもの」という意味と、仏教用語の「三色」の意味がある。
    仏教の「三色」とは、煩悩によって汚れている人間の様々な要素のうちの
    「色」として分類される五根・五境・無表色の三要素。
      ・五根=眼・耳・鼻・舌・身
      ・五境=色・声・香・味・触
      ・無表色=表象的には表れないもの
     (京伝は結構な知識人なので、こういうの調べるのが疲れる…^^;)

清心の医書:心の熱を冷ます医書。
         「清心○○」という漢方薬の処方が江戸時代から行なわれていることから、
         蘭学ではなく漢方学の医書であろう。
        
太神宮の洗い米:神仏にお供えした洗い米は、清浄で霊験があると考えられていた。
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野暮天のサチ

Author:野暮天のサチ
江戸のおもしろ文学『黄表紙』を読み始めて1年余り。
ど素人の独学なので試行錯誤中ですが、あまりにも面白いので、みんなにも「黄表紙読み」をお勧めしたいと思ってブログをはじめました。

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