ど素人、黄表紙をよむ

独学で黄表紙を読み、悪戦苦闘の成果をさらす。恥知らずの野暮天ですみません。

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人間一生胸算用⑮

人間一生胸算用15右

そうして皆々、おばをだまくらのごんごうにして、 
よほどの金子を借りて帰り、
吉原の借金を払ってまた遊ぼうと喜び、
その夜はみな休んだところ、
足はおばのところで久しく尻の下に敷かれていたので
大変くたびれて寝そびれていた。

足はあまりに辛く思い、
「みんながお楽しみの中で俺ひとり
 大人しくているのも大バカだ」と思案を極め、
ふと悪が兆して、その夜、密かにかの金を半分盗み出し、
江戸芸者におかみを引き連れ、通し籠で江ノ島、鎌倉と出かけ、
どうせ我が物ではないと思い、
多くの金をやたらみっちゃに奢ってしまう。

なるほど、足が贅沢するといってもせいぜい、トロい籠くらいのところなのだ。

  足 「籠に乗り詰めも大儀なものだ、ちっと歩いて休もう。
     手前ェたちはくだびれはせぬか。 
     その代わり、活きたカツオを食わせるぞ」

  芸者「だんな、もし。
     江ノ島はゑびすやになされまし」

人間一生胸算用15左

その後の半分の金は、その夜また手が盗み出し、
「足めは良い事をしおった、
 さて、我もチと楽しんで賭けてみよう」と、
気晴らしにと博打にかかり、おおいに負けこけてヤケを起こし、
大喧嘩をはじめて相手の頭を握りこぶしで打ち
傷をつけると大騒ぎとなった。

口を連れて来ないから手はただ、
だんまりで殴り合った。

 男 「これこれ、喉がつまらァ、離してくれ。
    真綿で首をしめるとは聞いたが、
    わりゃァ、裸で首をしめるな」

 博徒 「刀は武士の魂、出刃包丁は競い(きおい)の魂だ。
     覚悟しやァがれ!」



だまくらのごんごう:「騙くらかす」と「鎌倉の金剛」をかけている。
 
やたらみっちゃ:むちゃくちゃに

だんまりで:江戸の喧嘩は「ヤイヤイヤイ!」と啖呵を切ってはじまるのが常で、
       無言でいきなり殴りつける姿は異様である。

競い:ここでは任侠、勝負師のこと。


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野暮天のサチ

Author:野暮天のサチ
江戸のおもしろ文学『黄表紙』を読み始めて1年余り。
ど素人の独学なので試行錯誤中ですが、あまりにも面白いので、みんなにも「黄表紙読み」をお勧めしたいと思ってブログをはじめました。

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