ど素人、黄表紙をよむ

独学で黄表紙を読み、悪戦苦闘の成果をさらす。恥知らずの野暮天ですみません。

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人間一生胸算用⑧

人間一生胸算用08右 追い出される心

ここに哀れをとどめているのは、無次郎の心である。
すこしの緩みにつけ込まれ、この国の主でありながらも
多勢に無勢、力及ばず、胸のあたりの在城を追い出され、
すごすごと、いずこへと去っていった。

  気「ケチをして、おいらを勝たせた報いだ。
    これで思い知りつこ」

  心「エヽ、残念残念。
    桃栗ざん年、柿八年、俺は無念で出でかねる」

京伝は、いい無駄もあると思ったけれども、
心があまり気の毒だから黙っている。

人間一生胸算用08左 気と耳鼻口

さて、みなみな、望みのままに心を追い出し、心ここにあらざれば、
番頭の気は、誰はばからず気ままをして、
ついに無次郎の体を横領すると、
是れより無状無象国、大いに乱れた。

  気 「ほんに、口にも久しく土用が入りやしない。  
     いつでも寒の内だろう」       

みなみな、気に御歯向きを言う。

  目 「アノようなケチな心を、みた事がござりませぬ。
     あいつは一万年もいきる心でござりましょう」

  口 「わたくしも朔日(ついたち)十五日に、
    ようよう安干物1枚ずつ食べるよりほか、 
     百五十する時もカツオなぞは嗅いだ事もござりません。
     働きのある猫にさえ劣るさ」

  耳 「お前のことをば、近所の息子衆も
     気の効いたお人だと陰で褒めます」



土用:土用のうなぎ=夏の風物。
    うなぎが食えないせいでいつでも冬だ、と文句を言ってる。

御歯向き:おべっか

朔日十五日:満月と新月の日で、江戸では魚介類や野菜の初物の売り出し日にあたる。
         初物はまずお上に献上されてから市中に出回る決まりで、
         解禁日以前に庶民が初物を食べるのはご法度だったようだ。
         そのため、朔日・十五日に初物をいち早く競って買い求めるのが江戸っ子庶民の粋だった。

百五十:冬至から百五十日=西暦で5月20日頃。
       旧暦では卯月のはじめにあたり、
       初夏の衣替え=初カツオが出回るシーズンである。
       初鰹は初物の中でも特に霊験がつよく、750日長生きするといわれていた。


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野暮天のサチ

Author:野暮天のサチ
江戸のおもしろ文学『黄表紙』を読み始めて1年余り。
ど素人の独学なので試行錯誤中ですが、あまりにも面白いので、みんなにも「黄表紙読み」をお勧めしたいと思ってブログをはじめました。

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