ど素人、黄表紙をよむ

独学で黄表紙を読み、悪戦苦闘の成果をさらす。恥知らずの野暮天ですみません。

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桃太郎発端話説(ももたろうほったんばなし)⑪

11両方

徳孤(とくこ)ならず」とは確かなものだ。
となりの婆にひきかえ、正直夫婦は数々の宝をさずかり、
かねてからの念願かなって鳥屋商売をやめ、
いろはづけの蔵をたてて、なに暗からず暮らしていたが、
もともと律儀いっぺんな者なので、
昔の貧しかったのを忘れず、いよいよ慈悲善根をこころがけて暮らした。

そして、これまで飼っていた生類を残らず放してやったが、
なかでも猿と雉とは、これまでの恩を感じ別れを惜しんだ。 
犬は帰るべき家もないので、やはり今まで通り仕えたいと願った。
畜類ながら殊勝なことである。

慳貪婆のように悪を好めば、たちまち厄いを招き、
正直爺のように善を修めれば、幸いをこうむる。
天道さまは見通しぞや。 
どうだ、子ども衆よ。がてんか、がてんか。

 (おいとま乞いの御祝儀に
  節季候でチと、せりふをこじつけましょう。)
       キジ 礼かわらず わんわの お庭へ 
         まいこめとびこめ
         きゃッきゃッと小ざるや いぬころ

11猿犬雉


  正直爺「猿はまた、猿知恵を出しやるな。
      庚申さまを大事にして、"みざる きかざる いわざる"を忘れず、
      真如の月に手をちぢめ、"こころの手綱をくくりざる"にするがよい。
      雉は三十六歌仙の家持のうたを思い、
      “きじもなかずは うたれまじ”ということわざを忘れまいぞや」

  正直婆「犬はこっちに残るものなれば、ゆるゆると教えましょう」

  雉「地震のときは、さっそくお知らせしましょう」
  犬「段々のご教訓、ありがとう存じます。ご夫婦のご恩は忘れませぬ」
 



【注】
徳狐ならず:「本当に徳のある人は、孤独だということはない」という意味。『論語』からの引用らしい。

いろはづけ:いろはの順に番号をつけること。番号をつけるくらい幾つも蔵が建った。

節季候でチと~:ネットで見つけた節季候の囃子文句↓。参考までに。
            エ 節季ぞろ エ 節季ぞろ
            さっさござれや さっさござれや
            せきぞろ エッせきぞろ
            まいねんまいねん、毎とし毎とし、
            旦那の旦那の、お庭へお庭へ、
            飛びこみ飛びこみ、はねこみはねこみ

家持のうた:三十六歌仙のひとり、大伴家持が詠んだ以下の歌。
        「春の野に あさる雉(きぎし)の妻恋ひに 己のがあたりを人に知れつつ」
        (春の野で餌を漁ってるうちに、妻が恋しくて鳴く雉は、居場所を猟師に知られてしまう)

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野暮天のサチ

Author:野暮天のサチ
江戸のおもしろ文学『黄表紙』を読み始めて1年余り。
ど素人の独学なので試行錯誤中ですが、あまりにも面白いので、みんなにも「黄表紙読み」をお勧めしたいと思ってブログをはじめました。

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